カトゥーン部会2023年度第2回研究会


カトゥーン部会2023年度第2回研究会

日時:2023年5月27日(土):13:00~15:00
場所:zoomによる会議
議題:論題「韓国ウェブトゥーンの現在と日本におけるテクストの「現地化」 」
報告者:金イエジさん

研究会概要

 金さんは、韓国ウェブトゥーン界において現在展開される諸変化を概観して、のちに今年3月東京大学人文社会系研究科から取得された学位論文の一部を紹介された。前半の概観の要因が、日本のマンガ文化におけるデジタル化の変化と合わさってあらわれる「現地化」現象にあることを明らかにした。 

 前半部分では、韓国ウェブトーンがウェブ小説との連携、スタジオ制作システムの定着、テクノロジーとの関係という要素が、伝統的な漫画ないしウェブトゥーンの概念を覆し、漫画産業の在り方をも変化させうる動力を持っている、と述べる。 

 後半では、日本で翻訳される韓国ウェブトゥーンの多くは、登場人物や作品背景、漫画の読み方などを日本式に修正し、テクストから韓国の文化的要素を削除する作業を経てから流通される。本報告では、このような特殊な形態の韓国ウェブトゥーンの「現地化」現象を、「漫画のデジタル化」と「漫画翻訳の実践」の二つの問題を軸として論じた。  

 参加者からは、①メディア間の「現地化」がどのように関連しているか、②マンガのジャンルにおいての「現地化」の違い、③日韓におけるマンガの受容に関する不均衡について、さらに韓国ウェブトゥーンがもたらす影響(メディアとしてのマンガについての再認識の可能性の有無)、⓸形態論的視点からの「現地化」作品の特徴、⑤「現地化」された代表作品についての議論、など様々な視点から議論がなされた。 

 

カテゴリー: カトゥーン部会