『複数の「ヒロシマ」 記憶の戦後史とメディアの力学』


[編著]福間良明/山口誠/吉村和真
青弓社
2012年6月10日発行
定価:3000円
ISBN978-4-7872-3340-0

[目次]
プロローグ―複数の「ヒロシマ」とメディアの力学/福間良明

第1部 広島の「ヒロシマ」
第1章 「被爆の明るさ」のゆくえ―戦後初期の「八・六」イベントと広島復興大博覧会/福間良明
1 「八・六」と視察
2 「祝祭」の翳り
3 「平和利用」への希望
4 おわりに―「ヒロシマ」の生成と変容

第2章 大衆文化としての地方文芸と被爆体験―詩誌「われらの詩」「われらのうた」の文芸的公共性/山本昭宏
1 怒りの「ヒロシマ」、平和の「ヒロシマ」
2 軍事利用の記憶と平和利用の夢
3 おわりに―サークル誌が紡いだ議論

第3章 連続と断絶の都市像―もう一つの「平和」都市・呉/上杉和央
1 平和産業港湾都市という都市像
2 「れんが」と大和ミュージアム
3 おわりに―「平和」都市の異同

第2部 ポピュラー・カルチャーの力学
第4章 マンガに描かれた「ヒロシマ」―その<風景>から読み解く/吉村和真
1 中沢啓治が描いた「ヒロシマ」
2 学習マンガが描いた「ヒロシマ」
3 こうの史代が描いた「ヒロシマ」と「廣島」
4 おわりに―より豊かな「ヒロシマ」の<風景>を求めて

第5章 <被爆国民>の「悲願」と「怨嗟」―『ゴジラ』と「原爆映画」をめぐって
1 一九五〇年代の『ゴジラ』評価と「原爆映画」
2 一九八〇年代の『ゴジラ』評価と「原爆映画」
3 おわりに―形象と現実

第6章 被曝変異譚への欲望―「ウルトラの世界」と放射線/杉本淑彦
1 前史としての怪獣・怪奇映画―一九五〇年代-六〇年代前半
2 初期『ウルトラ』シリーズの被曝変異譚
3 被爆星人事件(一九七〇年十月)
4 ポスト「被爆星人事件」

第7章 廣島、ヒロシマ、広島、ひろしま―広島修学旅行にみる戦争体験の変容/山口誠
1 広島修学旅行と東京が出会うまで
2 「ヒロシマ」修学旅行の誕生―「上平井方式」とその「改良」
3 三つのガイドブック、四つの広島―「非核平和」と「ヒロシマ」の連動
4 「ヒロシマ」の風化―江口保の「ヒロシマ」批判
5 「ヒロシマ」のジレンマと向き合うために―戦争体験の風化と「追体験」の可能性

コラム 距離・制限・タブー―日欧「ヒロシマ」イメージの隔絶/ディック・ステゲウェルンス

第3部 作家インタビュー
解題―「ヒロシマ」を描いた二人の漫画家/吉村和真
[インタビュー]中沢啓治―戦後の社会史・メディア史における『はだしのゲン』
[インタビュー]こうの史代―非体験とマンガ表現

エピローグ―「ヒロシマ」の道は続く/山口誠

カテゴリー: 書籍情報