『荒木飛呂彦論―マンガ・アート入門』
加藤幹郎
筑摩書房
2014年1月10日発行
定価:740円
ISBN978-4-480-06758-6
ちくま新書1052
[目次]
はじめに
第一章 波紋とは何か、スタンドとは何か
内容と形式/内容の変化/形式の変化/世界(日本)漫画史における金字塔/波紋と幽波紋/吸血鬼と血縁関係/プラム・ストーカーの吸血鬼小説/幽波紋能力と血縁関係/心あたたまる親子関係/スフィンクスの死/歴史的生死サイクル
第二章 差異と反復の主題系
海水と船舶と波紋/動物と人間の葛藤/スタンド能力の波紋的表象/DIOの海景ディオラマ/水面表象と伝統的格闘技/浅瀬湿地帯におけるグリーン・ドルフィン刑務所/主題系の図式化/空の船と海の船/パート間の運動カデンス
第三章 「奇妙な」杜王町空間
スタンドの再定義/家屋内バトルフィールド/家屋骨組と漫画枠組/幽霊と殺人/リアリズムとイリュージョニズムの接合
第四章 革新的な漫画スタイル変様
斜線と曲線によるマニエリスム漫画化/運動媒体のなかの格闘描写/斜線と斜体/遠近法の倒壊/「斜形駒割り」から「長方形駒割り」への擬似的回帰/爪と弾と球
第五章 美術史観点から芸術漫画を読む
手首と掌のマニエリスム的「切断」/指と掌のマニエリスム的「接合」/神父と吸血鬼/芸術漫画と芸術絵画
第六章 岸辺露伴と荒木飛呂彦
漫画作家、岸辺露伴/日本漫画と外国漫画/身体的漫画と漫画的身体/手描き漫画と手書き文字/幻想と現実の物語漫画/パート6冒頭部のすばらしさ
第七章 二元論を超えて
善悪二元論的イデオロギーのゆらぎ/猫と船と爪あるいは弱肉強食の転回/権威的イデオロギーの婉曲的回避/新次元への閃光/映画と漫画のサブリミナル効果/動物と人間の非二元論/主人公たちによる非殺害/記憶喪失と家族崩壊/個人独自の心身活性化
おわりに
あとがき