2012年度第1回カトゥーン部会研究会
- 日時:2012年4月14日(土)15:00~18:00
- 場所:早稲田奉仕園セミナーハウス105号会議室
- 報告者・論題
足立(井上)加勇氏(学習院大学大学院)「マンガはいかにしてキャラクターを成立させるのか」 - 報告概要
キャラクターのかきわけの問題を切り口にマンガの様式を解析し、現代におけるキャラクターのあり方を考える。まず、目の構成パターンを体系的に整理した。多くの作家が目のパターンを数種類しか持たず、目はかきわけよりも画風と連関する。かきわけには、目よりも髪型の影響が強い。このことから、画風を変えずに描くことが可能な弁別ポイントを持つキャラクターが、キャラ/キャラクター論的な意味で「キャラが強い」といえる。弁別ポイントは、そのキャラクターによって読者が満たされる願望と強く結びついている。今日のキャラクターは人々の願望がパッケージ化されたものと言え、弁別ポイントは、そのパッケージを意味する記号として機能する。パッケージ化は、ハイ・モダリティにおいて普遍的にみられる現象であり、個別的なものを標準化すると同時に、選択肢の増加による多様化を促す。現在のキャラクターの氾濫は、その標準化と多様化の結果といえる。
カテゴリー: カトゥーン部会