カトゥーン部会2004年度第4回研究会
- 日時
2004年12月4日(土)16:00~19:00 - 場所
神奈川近代文学館小会議室(横浜市中区山手町) - 報告者
宮田徹也氏(フリー) - 報告題目
カーツーンを語る「方法」と「ことば」について - 研究会概要
日本新聞協会主催で2003年11月から翌年2月まで開かれた「新聞漫画の眼――人 政治 社会」の概観をスライド上映したのち、「「新聞漫画の眼」展展 評」(『マンガ研究第5号』2004年)に関するコメントがなされ、美術史研究と批評に関して資料をもとに報告があった。報告者によれば、当該展覧会の展 示の思想が美術館的であり、専門家向けの構成になっていたことは開催期間と併せて考慮すべき点であったという。また、資料展示において、特に新聞が原紙で 出展されており、作品のコンテクスト理解だけでなく、当時の読者の情報環境の一端を垣間見ることも可能であったことは興味深いものであったとの指摘があっ た。その後、日本の美術史を概観することを通じて、美術史研究と美術評論の問題が語られた。その問題とは、批評家と作家、および学芸員との関係が「相互依 存関係」――文責者の理解――であり、当時の社会経済状況に応じて彼らの影響関係が変わり、それが美術作品・作家の見方につながっているということにあ る。つまり、こうした「相互依存関係」によって、作品に対する批評や位置づけが行なわれるため、自立した存在としての作家と批評家との関係が確立されてい ないと報告者は語った。加えて、現代における批評の必要について、「何処の誰に向かって投げかけていくべきか」が問われているとし、批評のための言語の問 題(作品に対応した言語の選択)が指摘された。
こうした報告者の問題提起について、マンガ評論ないし表現論との接点を軸にさらにいくつかの問題提起がなされ、参加者を交えた討論となった。マンガ(表 現)論における共通認識の希薄さや、メディアとしてのマンガの問題、文学や美術といった分野にみられる、歴史的文脈から見た連続・非連続性は、マンガに とってはどう位置づけられるかという問題、その他マンガ論における批評と研究の関係、等々多様な議論がなされた。
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