カトゥーン部会2005年度第7回研究会


1.日時:2005年12月17日(土) 14時~18時
2.場所:関西大学尚文館404号室
3.報告者:岡部拓哉(放送大学 全科履修生)
4 報告題目:地方紙を含む連載マンガの変遷と特徴
5.報告概要
報告では、まず地方紙と全国紙の比較や、地方紙がもつ地域への役割及び影響についての議論が行われ、地方紙の特徴を明らかにし、地方紙マンガの連載システム(マンガ家と新聞社の間に通信社が存在することなど)について明らかにした。
続けて、昭和20年代に連載された大阪新聞の『ヤネウラ3ちゃん』(南部正太郎)、埼玉新聞の『連載マンガ 僕等の青春日記』(センバ太郎)、上毛新聞『弱井眞三』(近忠)、山梨日日新聞『ハニーとハンク』(ジーク)、日向日日新聞『ピヨちゃんの娘時代』(松下 紀久雄)のそれぞれの特徴を述べ、各作品の比較を行い、終戦直後にも多種多様の連載があったことを示し、それぞれマンガにみられる表現技法、社会情勢につ いて指摘された。
昭和30~50年については、複数の新聞に連載された作品15点を示し、そこに見られる時代性について提示し、作者や作品の詳細や、その分析方法について指摘された。
最後に、近年の作品24点を紹介し、特にその地域の特徴が見られる連載を提示し、議論を行った。北國新聞の『ヒラリ君』(井田良彦)は、複数の地方紙連載 から北國・富山新聞の単独連載に変化した例や、琉球新報『がじゅまるファミリー』(もも・ココロ)、高知新聞『きんこん土佐日記』(村岡マサヒロ)のよう に最近連載が始まり、方言や風習など地域の特徴が作品に見られる例、沖縄戦を取り上げた琉球新報の『劇画 沖縄健児隊』(新里 堅進)や、日刊宮古『Mr.ガラサ』(ウルカ・友)の単行本化について、北海道の自然・アイヌ文化を題材にしている北海道新聞『星見が森の風太』(しもん 雅之)を提示し、地方紙連載のマンガの可能性についてや、今後の調査や分析手法について多くの意見交換がなされた。

(文責 岡部 拓哉)

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