カトゥーン部会2009年度第1回研究会・関西交流部会50回合同例会
1日時:2009年9月12日(土)15:00~18:00
2場所:京都国際マンガミュージアム3階 研究室1
http://www.kyotomm.com/HP/access.html
604-0846 京都市中京区烏丸通御池上ル
075-254-7414(代)
3報告者:秦美香子(神戸大学大学院博士後期課程)
4題目:「女性向けマンガ」とカトゥーン
5研究会報告概要
今回は、関西交流部会との合同研究会として実施した。
報告者は、『an・an』に連載されていた1コママンガの事例を分析し、「女性向け」媒体に発表されたカトゥーンについて報告した。日本語でつくられた 「女性向けマンガ」雑誌においては、ストーリーマンガや4コマ連作が作品形式の大半を占めている。報告者は、少なくとも現在では、このジャンルの商業誌に おいてカトゥーン作品が発表されることは稀であるとした。一方、マンガ専門誌ではない「女性向け」媒体には「カトゥーン」と呼ぶことができる表現も発表さ れているとして、その事例を示した。
報告では、「女性向け」に発表されたカトゥーンの事例では、既存の価値観を批判するよりも「それとは異なる自分の価値観」を示すことが好まれており、その 姿勢は(長編の)女性向けマンガ作品で表現されるものと類似していると指摘した。質疑応答では、そのような姿勢をメディアのアジェンダ・セッティングの機 能という視点から捉えることができるのではないかという意見が出された。また「女性向けカトゥーン」といえる作品の展開について、マンガ専門誌でも口絵な どにおいて発表されていたのではないかという質問や、雑誌の構成においてマンガ専門誌にカトゥーンのスペースが設定されているかどうかを考慮に入れるべき であるという指摘が出された。
さらに、参加者全体で、新聞などマンガ専門誌以外のメディアに発表されたマンガ作品(単行本化されない作品だけでなく、「作品」として認識されにくいもの も含めて)をどのように収集し保存していくかという問題についても議論した。
(文責 秦 美香子)