九州マンガ交流部会 第13回例会
日 時:7月11日(土) 14:00~
場 所:九州大学芸術工学府 大橋キャンパス 512教室(5号館1階)
〒815-8540 福岡市南区塩原4-9-1
http://www.kyushu-id.ac.jp/kyushu-u/watch/campus
■ループする「生」―― 押井守『スカイ・クロラ』
九州大学大芸術工学院修士課程 田中 幹大
アニメーション作家押井守は,宮崎駿に次いで影響力が大きいとされている.今回は最新作『スカイ・クロラ』を取り上げ,押井本人の著書を参照しつつ,作品の分析を行う.
押井作品の特徴として,同じような日々を何度も繰り返すループの構造がある.出世作である『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)では,学園祭の前日が延々と繰り返されるという展開が話題となった.『スカイ・クロラ』(2008)では,キル ドレと呼ばれる年を取らない子供たちが描かれている.彼らは戦闘機のパイロットとして闘い,戦死しても別の人間として転生し,また同じような人生を送る. 主人公・函南優一は,その無間地獄のようなシステムに抵抗する.
本発表では,なぜ押井がこのような展開を好んで描くのかについて考察する.
■マンガのフレーム──西洋美術史の視座から
九州大学芸術工学研究院 米村 典子
西洋近代美術史を専門とする発表者は,その専門領域に重心を置きつつ,以下の2点を検討する.
① マンガ研究の領域では,近年,活発な発表や議論が交わされている.これを踏まえ,西洋近代美術史という外部の立場から何が語れるかを検討する.とくに 研究史に注目し,ときに二つの研究領域を重ね合わせることにより,すでに語られていることにも異なる角度から光を当てられないかという試みである.
② 発表者の近年の関心事のひとつに,絵画におけるフレーム,とりわけ19世紀末のフランス絵画における視野および額縁の問題としてのフレームがある.マ ンガのフレームについては,すでに様々の議論がなされてきているが,①の検討結果をふまえつつ,マンガにおけるフレームを美術史研究者の側から論じるとき 何が語れるかを考察する.
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連絡先:九州大学芸術工学研究院 米村典子 yonemura@design.kyushu-u.ac.jp
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